「お前、なんだよ」



「なんでもないよ。
ただ、桃華の母親に心配だからって
この学校に入れられたただの被害者



だから安心して、



君たちが彼女を怖がらせなければ



僕はなーんもしないよ」



目が合った薄赤い瞳が
体をしばりつける。



「それじゃあ、迷子の猫は
母猫を探しにくよ。



バイバイ」



軽い挨拶とともにドアから出ていく
鳴瀬 渉は足音を鳴らして消えてゆく。



「チッ、なんだよあいつは!!」



「情報を調べてたのが、バレた?」



「んー、怖かったねー」



「あれは、強者だ。」



「私でも分かるぐらい、怖かった」



そう、全員が言うように、



あれは、




俺たちより強い。




なにもんだよ、




鳴瀬 渉。