日本一の総長は、本当は私を溺愛している。

駆け出す。



子供ながらの低身長を活かして
男の足元をすり抜ける。



殺れる!!!



初老の男の首元!!!



ザクッ



え、



僕のナイフは、



初老の男の首元には届いてない。



その前に



彼女が、いる。



僕が知っている時より
随分と大人っぽくなっている。



綺麗な黒金の髪の毛が美しく舞う。



どろりとしたモノが手を伝う。



え、



ボクは、



何をしてる。



「逃げて」



彼女が僕の耳の横で呟く。



グッ!!!



その瞬間蹴り飛ばされ裏路地の入口へ飛ぶ。



数年前に反射として身につけたその言葉は



言われた通りに駆け出す。



「東華様!!!」
「ご無事ですか!」
「すぐにあのガキを!!」



男達の声が聞こえる。



「急所は外した。


それよりお前たちはお爺様を
私はあいつを殺す。


私以外が殺すのは認めない。
いいか」



「「「っ!はい!!」」」