日本一の総長は、本当は私を溺愛している。

正信が部屋を出ると静けさが支配する。



桃華。



起きてる?



大丈夫?



もう1つの、



私の生みの親である桃華に呼びかけるが
全く何も感情が出てこない。



ただ、



目を開けた瞬間、
間違いなく桃華はこの体を支配していた。



でも、



悠月を見た瞬間逃げ出した。



嬉しい



ありがとう



大好き



ごめんなさい



この4つの感情だけを残して。



そのせいで私の心臓はどくどくと音を立ている。



医者や正信がいる間は正常だった。



でも、



1人になった瞬間、



桃華の気持ちが溢れ出す。



悠月がいてくれたことへの嬉しさと。



怖さと。



悲しみが。



今でもその感情が出てくる。



いつものように感情のコントロールが出来ない。



悠月のせいだ。



くそ。



鏡を見なくても分かる。



私の顔は真っ赤だ。



私には、



妃瀬 東華にはいらない感情が
心に残ってしまった。



この感情は。



恋だ。



1番、人間を狂わせる感情。



ほんと、



最悪。