やばい。



俺、如月 篤紀(きさらぎ あつき)は
素直に本能で思った。



顔を隠す様な眼鏡に黒髪の三つ編み。



冬馬が言ってた一ノ瀬 桃華の特徴
そのままだったから見てたら
百合に見つかった。



そいつは泣いてていきなり俺に縋ってきた。



話の端々を取ると、どうやら一ノ瀬 桃華
に姫をやめろとか言われたらしい。



いや、お前、姫なの?



俺達は認めてねーけど



馬鹿正直な冬馬は騙せたっぽいけど
俺達は無理だな。



百合に構わずに一ノ瀬 桃華を見る。



悠月がお熱になるほどの魅力が分からない。



悠月が誑かされてる。



なわけない。



んー、どうしてだ?



てか、泣いてる?



え、まじ、え、やばくね?




あ、ちょまって!



あー、走っていっちゃった。



まぁ、悠月にバレてなければ



「おい、篤紀」



........ですよねー!!



いますよね!



周りは珍しい悠月の登場に歓喜に湧いている。



俺の腕にすがりついていた百合もだ。



泣き止んでんじゃん、離せよ。



振り払うと悠月に近づく。



「おう、悠月。どうした」



「なんで泣いてた」



俺も知らん



「あ、あのね!悠月くん!
さっき居た一ノ菌、うんん、一ノ瀬さんが
私に白龍の姫やめろとか言ってくるの!


百合、白龍大好きなのに!
それで、色んなこと言われて泣いてる時に
篤紀くんが来てくれて守ってくれたの!」



ちょ、やめろ頭お花畑野郎。



やべぇ、ただでさえ低かった機嫌が
地の底まで落ちた。



さっきまで上機嫌だったくせに!