"月の白龍"が一ノ瀬 桃華を守った。



この噂は瞬く間に学校中に広まった。



「悠月!!悠月!!」



授業中なのになんで来てんだよ。



「悠月!いるだろ!」



「なんだよ。冬馬」



「悠月!お前!何してんの!」



「なにが?」



「何がって、お前が一ノ瀬 桃華を
庇ってから、百合の機嫌が悪いんだよ!」



この間から百合、百合って、誰だよそれ



「誰それ」



「はぁ!?"白龍"のNo.2の姫だろ!」



「俺は、そんなの許したつもりはねぇ」



「そ、そうだけど、
もう周りもそうやって持ち上げてんだし」



「だいたい、夏美だって俺は公に
姫だって宣言した覚えはねぇぞ」



「はぁ!?夏美は昔から
一緒にいたからだろ!」



「俺がまだ"白龍"継いでない時だろ。」



「それでも!夏美は姫だ!」



知ってるよ。



お前は夏美が大好きだから
離れたくないんだろ。



「まぁ、夏美はいいとして、
なんでその百合ってやつが姫になった。」



「たしか、幹部補佐の廉(れん)の彼女で
幹部の周りをうろつくようになって」



「ふーん。
冬馬、その噂の出処を調べろ。」



「分かった。」