「ふふ、悠月の好きなもの
いっぱい入れるね。」



「じゃあ、ハンバーグ」



「いいねー、和風ソースかけにしてあげる」



「美味そ。」



「ふふーん、でしょー」



「あぁ。
じゃあ、桃華。」



「なに?」



「帰るぞ。」



(俺達の秘密の場所に)



その言葉は続けずに心の中にしまう。



「うん。」



悠月が差し出してくれた手に捕まるが
足に力が入らない。



「あれ?」



「まさか、腰抜かしてんの?」



「ぬ、抜かしてなんか....立てない。」



「ぷ、プハ!」



「わ、笑わないで!」



「わ、笑ってねぇ、」



「笑ってる!向こう向いても分かるぐらい
肩が揺れてる!」



「くくっ、ごめんって。」



「え、きゃあ、」



流れるように膝の裏と
背中に手を回した悠月は私を持ち上げる。



お姫様抱っこだ。



「ゆ、悠月!!やめ!恥ずかしい!」



「プハ!腰抜かしたお前が悪い」



「恥ずかしいって!
そ、それに悠月だって重いでしょ!」



「いんや、軽いぜ。
お前、あんなに食事好きなくせに
食ってんのかよ」



「た、食べてるよ!
だから、おーろーしーてー!」



「屋上着いたらな」



「悠月!!」



「ははは!」