桃華が和真の頭を撫でながら慰める。



感じた違和感は一瞬。



背筋が凍ったのも一瞬。



目があったのも、一瞬。



一瞬のうちに俺の体の中が警戒音を鳴らした。



桃華?



いや、ちがう。



「ごめんね。最近多いんだ。」



「大丈夫なの?」



「うん。心配かけてごめんね。
今日は帰るよ。」



「うん、そうしたほうがいいよ。」



「うん。ありがとう。
バイバイ」



「うん。」



夏美と桃華が別れの挨拶をするので
俺は、桃華をコンテナ街の外まで送る。



「今日は心配かけてごめんね?」



「いや、大丈夫」



いつも通りの桃華なのに



なんだこの違和感は



「送る。」



「うんん、外までで大丈夫。
迎え呼んだから。」



「そう、か」



「うん」



何時もだったら続くはずの会話が
自然と切れてしまう。



横目で桃華を見るがいつも通り。



あの、感じたの違和感は一切ない。