「ごちそうさま。…そろそろ帰るね」
気がつけば外は夕日が出ていた。
見晴らしのいい場所にあるこの喫茶店は夕日が見えて、新しくお気に入りの場所のひとつとなった。
「逞真、待って!」
お金を払い喫茶店を出ようとすると紗奈にとめられ、足が止まる。
「ご、ごめんね……でもあの、久しぶりに会ったんだしあと少し一緒にいたいなって…」
俺の袖を少し掴んで上目遣いをする紗奈。
…あの頃の紗奈のまま時間が止まっていたから、俺は少し驚いた。
「わかった。」
普通の男なら下心というものが出てくるだろうけど、それは俺には全くない。
「あ、ありがとう!あとね、うちこの近くに引っ越したんだ!お母さんもずっと会いたがってたから、少し寄らない?」
…幼馴染といえば、結城さんとアイツもそうだったっけ。
「逞真?」
「あ…なんでもない。俺もおばさんに会いたいし、少し寄ってくよ。」


