「にしても柊、急にキャラ変わったと思ったらこーんなこと企んでたとはね!」
多分、違う大学の生徒だろう。
先程からの会話から想像するに高校で別れた友人…というところか。
「それくらいの女だろ?」
私の顎を持ち上げ、柊はニヤリと笑った。
…演技をしていたらしい。
王子様を演じ、私の警戒を解くため。
「……ゲス男。」
ボソリと呟いた言葉は拾われた。
証拠に、柊は乱暴にシャツをちぎったから。
「威勢がいいね、さすが高嶺の花。」
……嫌いだった。
「高嶺の花」という呼ばれ方が。
唯一出来た友人すらも急に
「楓華とは釣り合わないから」と離れていった。
釣り合う釣り合わないとか、どうでもよかった。
一人は寂しいものだと柊に出会ってまた思うことが出来た。
……のに、本当に私は運が悪い。


