奴隷、彼氏?
なんだそれは?
「日替わりの彼氏候補は、皆んななんらかの事情を抱えてるわけ。そうだね、たとえば借金とか」
「借金?」
「そう。彼氏として選ばれると、その借金が減る。でももし、選ばれたのに別れると、その反対。だからね、フラれないように必死なわけ。つまり、なーんでも言うことを聞いてくれるんだよ?」
志保から明かされる真実に、頭がついていかない。
「じゃ、お金のために彼氏になったんじゃ?」
そんなの、付き合っていると言えるのか?
先生もそれで私と?
こっそり会っていた女が、もしかしたら本命という可能性もある。
私のほうが浮気?
「きっかけはなんでも良くない?付き合っていくうちに仲を深めていけばいいんだし」
「でもそれって、言うことを無理やりきかせてるわけでしょ?」
「それは考え方次第だよ。私も彼を助けてるし、彼も私を愛することで成り立ってるんだから」
「そんなの__」
おかしいと言いたかったけど、浮かれている志保になにを言ってもムダだ。
しかも。
「見て」と、左手の甲を私に向ける。
そこには、指輪があった。
「結婚、申し込まれちゃった」
嬉しそうに自慢する志保に、ただ絶句するしかなかったんだ。