『愛してる』


耳元で囁かれるたびに、私の体に電流が走った。


愛という大人のセリフを、しかも憧れていた先生に言ってもらえるなんて__。


思い出すだけで、また体が熱くなってくる。


「これから、いっぱい思い出つくっていこうな」


「うん」


ようやく、少し敬語が抜けてきたかも。


帰りは車で、家の近くまで送ってくれた。


もう辺りが暗いからかもしれない。


先生と生徒、私たちの交際は世間にバレるわけにはいかない。もしバレてしまえば、先生は先生を辞めなくてはいけない。


「先生をやめるのは、智花の前だけな」


そう言って、鼻先にキスをしてくれた。


それだけで充分だ。


先生が彼氏になってくれただけでいい。街中で手を繋げなくても、友達に紹介できなくても構わない。


私だけの先生でいてくれれば、それでいいんだ。


「智花、好きだよ」


「私も__先生のこと、好き」


車から降りる前に、長めのキスを交わした。


また明日会えるのに、別れを惜しむように唇を重ねあう。


学校では、生徒と先生だから。


決して誰にも言えない、恋。


私と先生の、秘密の恋が始まった。