えっ?


彼氏候補?


「驚かせて悪かった。先生も日替わり彼氏に参加している」


「うそっ」


思わず呟いた。


先生が、私の彼氏候補?


「ただ、今日は職員会議があってな。これくらい強引にやらなきゃ、柏木との時間を作れなかったんだ」


「じゃ、あの、怒られるんじゃないんですか?」


「怒る?」


「テストの点が、悪かったから」


「そうだな。あとでお仕置きしてやろうか?」


そう言って意地悪く笑う先生は、私がこれまで見たことがない先生だった。


「ちょっと、あんまりテスト勉強できなくて」


「日替わり彼氏が始まったからか?」


「__はい」


「じゃ、早く答えを出さないとな?」


先生は腕組みをして、少し首を傾げた。


それだけのことで、ふわふわと体が浮いているような気になる。


先生が、私だけを見て、私だけに話しかけている。


ずっと雲の上だった、三井先生。


先生と生徒が付き合うなんて、許されないこと。


それがもしかしたら__ううん、私の気持ち次第で付き合うことができる?


「答えは決まったのか?」


「それは、まだ」


「そうか」


短く言って腕組みを解いた先生が、私の頬に触れた。


「じゃ、先生を選べ」


と。