「あのっ、どうして__?」


それは私が1番に聞きたかったことだ。


もう彼女に選ばれないと、諦めていたのに。


すると寺本さんは、私の手を握りながら言った。


「君が、ちゃんと正直に話してくれたからだよ。正直いうと、日替わり彼女で選ばれると借金がなくなるのは知ってた。みんな、お金に困ってるんだってね」


思わず、俯いてしまう。


うそはついていないけど、不純な動機だから。


「だから全員に聞いたんだ、借金のこと。でも正直に答えてくれたのは、君だけだった。不利なことを言えば選ばれないかもしれないのに、ちゃんと打ち明けてくれた。それは、僕のことを信じてくれている証だから」


そう言って、寺本さんは手に力を込める。


私の手だけじゃなく、心まで大きく包み込むように__。


もし、すべてを話せば、力になってくれるだろうか?


たぶん、親身になってはくれるけど、やっぱりあのことだけは話せない。自分でなんとかしないと。


「これから、彼氏としてよろしく」


「はい、こちらこそ」


でも、まずやることがある。


やらないといけないこと。


片づけないといけないことが。


そして次の日、私の口座に1000万円が振り込まれていた。