「……っ、ふはっ」 「……!」 なんで? なんであたし、今笑っちゃったの? 勿論、面白かったわけじゃない。 緊張が限界を超えて、もうわけわかんなくて。 灰野くんは目をまん丸にして、思いっきりあたしから離れた。 その真っ赤な顔を背けて、灰野くんは走った。 走った、というより、ダッシュ。 「灰野くん……!」 追いかけたのと、多分同時。 ガシャーンという音が空まで響いた気がした。