ピカっと空が光って一瞬身構えたけど、それでも走りつづける。


ゴロゴロと遠くで小さく雷鳴が聞こえた。



「はぁ……っ、はぁ……」



赤信号で止まって、上がった息を整える。


すぐ傍の民家のガラスにあたしの姿が鏡みたいに映っていて、あんまりにボロボロで、ふっと息が漏れた。



ずぶ濡れのスカート、泥だらけの靴下。さっきまで白かったはずの茶色いスニーカー。雨と汗でぐちゃぐちゃの髪と顔。


……悲惨すぎ。


開きっぱなしの傘をコトンと地面におろした。


体じゅうに雨粒をたたきつける灰色の空を見上げて心底思う。



今日は人生で一番最悪な日。