「部室によりたくて。つか呼び出されたというか」

「告白じゃない!?」

「そうだろうね」

「部室ってことは、マネさん?」

「うん」

「もしかして……その子がナギちゃんの好きな人!?」

「ちがうちがう」


なんだ。違うんだ。


「朝の呼び出しでもちゃんと行くんだね」


「そりゃ行くだろ。向こうは一生懸命誘ってくれたんだから」


そんな気持ちをむげにはできない、だって。

かっこいいこと言うなぁ。


「俺放課後は部活に充てたいし、部活のあと二人で抜けたら一瞬で噂になりそうだから、朝の方がいい」


「そんなこと言って、ナギちゃんいつも噂だらけじゃん」


誰に告白されたとか、いっぱい聞いてきたけど。


「ばれてないのがほとんどだよ。なるべく隠してる。可哀想じゃん、相手が」


それでもなぜか噂が回るんだよなぁと、空を見て目を細めるナギちゃんを「優しいね」と素直におもう。


「なんでこんな優しいひとに、ナギちゃんの想い人は振り向かないんだろう」


不思議だし、理不尽だと思う。