〜瑞希さんの部屋〜
「楼莉ちゃんあのさぁ、なんか、さん付けするの、かたぐるしいからさぁ、
先輩でいいよ。」
「うん。分かった。ならさぁ、ちゃん付けじゃなくてさぁ、呼び捨てでいい
よ。」
「手、出して。でもやっぱりさぁ、楼莉ちゃんは楼莉ちゃんだよ。」
「うん。自由な呼び方でいいよ。
右手にさぁ、アザは、きついなぁ。」
「楼莉ちゃんさぁ、もうちょっと、甘えてもいいと思うよ。」
「辛い時は、辛いって言っても。それで、頼ってもらえて嬉しい人も居るよ。
逆に、1人で耐えてるのを見てる方が辛いから。」
瑞希先輩に言われちゃった。
結構、チャラそうなのになぁ。
「出来たよ。手当て。今から、防水のカバーつけるから。」
「うん。瑞希先輩、楼莉ねぇ、男バスのマネージャーやろうと思ってる。」
「楓、居るけど大丈夫?」
「何で?」
「隣の部屋がさぁ、楓の部屋で、この前聞いちゃったんだよねぇ。
楼莉ちゃんが、楓に暴力ふられているの。」
「え?」
「楼莉ちゃん、フレンドリーだからさぁ、相談してくると思ったんだけどさぁ、
頑張って耐えていたから。」
「小5までは、気軽に葵とかに相談してたよ。
でも、楼莉の悩んでいることが大きすぎて、葵の負担にしちゃったんだぁ。
それからわねぇ、楼莉が耐えれば、皆が笑顔になると思ったの。」
「大きかった悩みって?」
瑞希先輩なら、誰にも言わなさそう。
言った方がいいかなぁ。
「あのねぇ、楼莉女バス習ってたんだぁ。」
「うん。知ってる。」
「楼莉はねぇ、嫌な時とかすぐ顔に出ちゃうんだぁ、それで、先輩方にちょい、
いじめられていることを相談したの。」
「それで?」
「先輩に葵が辞めてくださいって言ったら、葵に先輩達が当たるようになって、
やんじゃったの。」
「そうだったんだぁ。」
「それだけじゃない、それで、葵が車にひかれそうになったから、楼莉が庇った
んだぁ。そしたら、和真との思い出というか、どういう関係でいたのかが記憶
が無くなっちゃったの。」
「え。でも、和真のこと好きなんなでしょ?」
「うん。でも、今回の件は、同学年がやっているような気がするの。
だから、我慢してるの。」