ガンッ!


金槌の音が、誰かを殴りつけるような音に聞こえた。


ガンッ! ガンッ!


その音が響くたびに、ホナミの体が大きく跳ねる。


それは歯を抜くと言うより、へし折って行くと言った方が正しい行為だった。


カズヤは表に出ている前歯をツギツギにへし折って行く。


その後、歯茎に埋まっている歯根を引き抜こうとした。


しかし、それは容易いことではなかった。


時間はどんどん減って行く。


カズヤの汗がポタポタと落ちて、ホナミの頬を濡らして行った。


「くそっ」


カズヤは舌打ちをすると、再びノミを手に取った。


それをホナミの歯茎に押し当てる。


ホナミの喉から、か細い声が漏れた。


カズヤはそれに耳を貸すことなく、金槌を打ちつける。