イクヤは白い菊の花を先生のお墓に添えて、あたしたちは手を合わせた。


「先生のお蔭で、ゲームはこの世から消えたよ」


あたしは手を合わせたまま、そうつぶやいたのだった。


あたしはイクヤの手を握りしめて、先生のお墓に背を向けた。


これから先なにがあってもあたしたちは生きていかなきゃいけない。


先生がくれた命を大切に守り続けないといけない。


そう思い、前を向いて歩き出す。


あたしたちは、決して先生のことを忘れないよ……。


だから、あたしは気が付かなかったんだ。


先生の墓石の裏に、ケースに入っていない泥まみれのゲームソフトが落ちていることに……。





END