こんなの、ひどいよ……。


イクヤと2人ならいいと思っていたのに、最後は1人だなんて……。


絶望と悲しみが押し寄せてきたころ、水はあたしの身長を飲み込むほどの量に到達していた。


また地響きが鳴り続けていて、先生の姿もどこにも見えない。


2人とも、もう埋もれてしまったんだろうか。


そう思うと途端に水をかく力を失い、動きが鈍くなってしまった。


水面に顔がでるのはほんの一瞬で、その瞬間吸い込める空気の量も限られていた。


あたしも、もう……。


そう思った次の瞬間だった。


信じられない光景が目の前に流れていた。


泥水に使って一寸先は闇のはずなのに、そこに十数人の男女がもがき苦しんでいるのが見えたのだ。