イツキはすでに行く気満々のようで、目を輝かせている。


不意に、昨日途中までしかできなかったゲームを思い出してしまった。


あたしがやり始めたゲームは全12作品が発売されている冒険ものなので、これから何時間かかってプレイするかわからない。


1度クリアしても2度、3度とプレイすることで新キャラが出現したり、ストーリーも変化する。


全12作品を制覇するのは簡単なことじゃなかった。


グラリ。


自分の気持ちが大きく揺れ動くのを感じた。


家に帰ればあのゲームは絶対にできない。


主人公の冒険を進めることはできない。


クリアは遠ざかる。


でも今日ゲーム研究会へ行けば……。


「行くつもり?」


ホナミに聞かれてハッと我に返った。


無理矢理笑顔を浮かべて「そ、そんなわけないじゃん……」と、消え入りそうな声で答えたのだった。