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 花霞は警視庁から1番近い駅に向かっていた。


 滝川に彼の行方を探すのをお願いした。けれど、自分でも椋を探そうと思っていた。
 椋が花屋に電話をしてきたということは、あまり時間がないという事だと花霞は思っていたのだ。



 「よく思い出さないと………椋が次に行くところ………。」



 花霞は、彼との約5ヶ月と過ごした日々を必死に思い出した。
 椋との出会い、結婚、会話やしぐさ、彼の行動。一つ一つ丁寧に、彼の行動や言葉の意味を探っていく。

 椋の書斎で見た記事も思い出していく。彼が調べていた新聞やネットニュースの記事の事も考えてみる。椋が見ていたのは、すべて薬物の事だった。危険ドラックや大麻、シンナー、覚醒剤などの記事や、それを使って逮捕された人の記事ばかりだった。

 花霞は大麻やシンナーを売っている人を見たこともないし、売り付けられた事もなかった。そういう人と知り合いになれば、彼に繋がるのかもしれないと、繁華街に向かおうとも思ったけれど、どうやって出会えばいいのかもわからなかった。