4話「期間限定の契り」




 突然の知らない相手からのプロポーズ。
 
 雨でボロボロになった顔や髪。きっと熱もあったため、すごい顔になっているはずだ。そんな綺麗とは言えない状態の花霞へのプロポーズ。
 そして、何より目の前の男の名前さえも知らない。昨日会ったばかりで、しかも彼氏にフラれ、家を追い出され、お金まで取られた時に声を掛けてくれたのだ。それなのに、体調の悪い花霞を家に連れ込み看病までしてくれた。
 そんな彼が、突然の「結婚してしてみませんか?」と、何かの勧誘をするような言葉でプロポーズをしてきた。口調や表情は真剣でも、花霞が驚くのは当たり前の事だった。



 
 「け、結婚って………何を言ってるんですか?!」
 

 花霞は驚き、思わず体を引いてしまう。その時にテーブルに腕をぶつけ、ガタンッと大きな音がなった。
 その慌てた花霞の様子を見て、「すみません……急すぎました。」と、苦笑した。


 「急も何も、あなたとは昨日会ったばかりですよ?確かに助けて貰って感謝してますけど、結婚って………。」
 「そうですよね。順番に話をしますね。さっきも話しましたが、助けた理由なんですけど。………1回、結婚してみたいと思っていたんです。」
 「…………はい?」


 突拍子もなく、説明にもなってい言葉を聞いて、理解できるはずもなく、花霞も思わず聞き返してしまう。すると、男は楽しそうにまた微笑み始めた。