ポタッと涙が手紙に落ちた。
 涙が次から次へと溢れてくる。



 「椋さんのバカ………本当に勝手だよ。なんで………なんで、何も教えてくれなかったの。」



 花霞はその手紙を抱き締めて、声を出して泣いた。
 椋の気持ちが、彼の辛さをやっと知ることが出来た。それなのに彼はここにいない。



 「…………椋さんの所に行かないと。」


 自分に何が出来るのかわからない。
 何の力にもならないかもしれない。

 けれど、椋はまだ生きている。
 それだけは、信じていたい。


 花霞は大切に手紙をしまいバックに入れた。
 そして、花霞は引き出しから結婚式の写真を1枚取って、家を出た。



 「まだ、お別れの言葉なんて聞きたくない。私は、椋さんに会いたいよ………。」



 花霞は、彼に届くように高い青空に向かって言葉を紡いだ。
 椋がどこにいるのかなどわからない。
 けれど、きっと今も自分を想ってくれているはずだ、と花霞は信じて走り出した。