『あとは、君に会うためにいろいろ調べたよ。そして、君の家に向かう途中に、あの日出会った。そして、結婚を申し込んだ。君と結婚してみたかった。俺が死んでしまう前に。遥斗を殺した相手を見つけはしたけれど、なかなか厄介な相手で殺すためには、自分も死ぬ危険があるんだ。殺した瞬間、そいつの部下に殺されるだろう。そう思っていた。
 だから、死ぬ前に花霞ちゃんの彼氏に結婚相手になりたかった。
 こんな事言った、君には怒られるだろうけどね。本当に自分勝手でごめん。

 でも、君と過ごした日々は、今まで生きてきた時間の中で1番キラキラしていて、幸せな瞬間ばかりだった。
 花霞ちゃんを見ているだけで、嬉しくて笑顔になれたし、君を守りたい、幸せにしたいって思ったんだ。それは本当だ。だから、花霞ちゃんに好きだと言われた時は、幸せすぎてもう死んでもいいかなって思った。
 けど、この幸せをずっと続けていきたいとも思った。花霞ちゃんと一緒に居たい。おじちゃんおばあちゃんになっても手を繋いで笑って過ごしたいって思ってた。
 けれど、遥斗を殺した奴を殺すと誓った事も忘れてはいけないって思ってるんだ。遥斗は、俺に夢と強さを教えてくれた大切な人だから。


 だから、ごめん。1人にしてごめんね。
 最後に君に言った言葉は全て嘘だ。離婚なんてしたくない。離れたくなかった。
 俺がもし帰ってこれたなら、また君を愛してもいいかな?
 
 もし俺が死んだらマンションも、車も、何もかも君の物になるようにしている。もちろん、財産全てだ。だから、ここに住んでいて欲しいな。そしたら、何だか守ってあげられる気がするから。あ、結婚指輪と君の指輪だけは僕のものだからね。
 


 幸せな5ヶ月だった。ありがとう、花霞ちゃん。いつまでも愛してる。

            鑑 椋』