「少しは元気になった?早く椋さんと仲直りするといいわね。」
 「うん………ありがとう。」


 元気がない花霞を心配してくれていた栞。本当に相談したいところだったけれど、彼女に詳しい所まで教えることが出来ないでいた。彼の部屋から拳銃が出てきた事や、書斎に入るのを禁止されており、そこで見たものなどはまだわからないことだらけなので、彼女に伝えられなかったのだ。
 そのため、喧嘩をしたと言い訳をしてしまった。栞には心の中で何度も謝り、いつか説明をしなければと思っていた。



 「無理はしないでね。」
 「うん。」
 「あ!そうだ………花霞に話しておかなきゃいけない事があったんだ。」
 「ん?何かあった?」


 花霞は作業をしていた手を止めて、栞を見ると少し悲しそうな顔をしていた。いつも笑顔の彼女がそんな表情をするのはなかなかないことだ。
 花霞は、心配になり彼女の顔を見つめ、話しの続きを待った。


 「実はね、いつも電話をくれるおじいさんから電話が来たの。そして、もう電話をすることも出来なくなるから今後の分のお金を一括で振り込んだって。だから、このお金がなくなるまで、お花をお願いしますって。」
 「え…………。」
 「………おじいさん、入院してるって言ってたし。大丈夫かなぁ?」


 栞の話しを聞いて、花霞は顔が真っ青になった。電話が出来なくなる。お金も振り込めなくなる。………それが意味している事はなんなのか。
 花霞は、栞に駆け寄り彼女を問い詰めた。