少し眠気が襲い、ウトウトとしていた時間帯。


 ガチャンッッ。



 玄関の鍵が開けられる音がした。
 花霞はハッとして、すぐに起き上がった。

 すぐに廊下に飛び出すと、椋が玄関に居た。
 けれど、いつもと様子だった。

 彼がよろよろと壁に手をついて、必死に歩こうとしていたのだ。


 「椋さんっ!?」


 花霞は驚き、すぐに椋に駆け寄った。
 近づくと、彼が至る所がボロボロになり、顔や腕などが擦りきれて血が出ていたり、汚れが着いていた。そして、椋は痛そうに腹部を押さえていのだ。

 
 花霞は「っっ!」と声を失いながらも、彼の体を支えながら椋に声を掛けた。


 「大丈夫ですか?………椋さん、怪我してる。」
 「………あぁ、花霞ちゃん………こんな時間まで起きてたの?」
 「あ、動かないで。傷の手当てしないと。あと腫れてるところ冷やしたり………。」
 「大丈夫だよ。少し休めば治る。」
 「そんな!病院行こう。夜間でもやってる所に…………。」


 花霞は動揺しながらも、彼の傷や顔色を見ながらそう判断した。けれど、椋は辛そうにしながらも弱々しく微笑んで首を横に振る。