26話「嵐の前の2人の時間」






   ☆☆☆



 あの日から、椋は今までと変わる事なく、花霞と過ごしていた。
 椋は変わらず花霞に優しくしてくれ、日々笑顔で話してくれる。そんな彼と過ごしているうちに、花霞も同じように接していたが、やはり気になる事は多かった。そして、不安なことも。


 椋が花霞が知らないところで、何をしているのか。
 そして、あと2ヶ月ほどになってしまった期間限定の結婚は、どうなるのか。
 それが不安で仕方がなかった。


 彼と結婚を決めた時には、期間限定で半年後には離婚して離れてもいいと言われたのだ。
 けれど、今の花霞はもちろんそんなつもりはなかった。彼が好きであり、ずっと一緒に過ごして欲しいと願っていた。
 それに、椋も同じ気持ちでいてくれると思っているけれど、彼のちょっとした言葉から、終わりにしようとしてるような気がしてしまっていたのだ。


 彼に聞いてしまえば、すぐに解決する話かもしれない。
 けれど、それを伝えたときの椋の返事が怖くて、花霞はそれを聞くことが出来なかった。