別れると決めたのに、
竜ちゃんには、連絡出来ずにいた。

本当は別れたくない……。
でも別れなくちゃ。
ずっとこれの繰り返し。

竜ちゃんは相変わらず、連絡くれないし……。
忙しいのは、わかってる。

でも本当はわかってるんだ。
私のこと好きじゃないこと。
竜ちゃんのなかでは私とのことは
終わってること。

もしかしたら
初めから好きじゃなかったのかも。

今日は、大晦日。

私は、ショッピングモールに来ていた。
1人暮らしをして初めての年末年始を
迎えるため、買い物に来た。

本当は、竜ちゃんと一緒に
過ごしたかったけど、無理みたいだし……。

とにかく、人が多い。
早く、買い物を済ませて帰ろう。

色んな店を回って、
久しぶりに気分転換できた。

そろそろ帰ろうかな?
喉が乾いたから、Cafeで一息していこう。
私はCafeに入った瞬間、
身動きがとれなかった。


「麻知……」


懐かしい声。
竜ちゃんの声を聞いたのは……いつぶり?

「……竜…ちゃん」

ずっと会いたかった竜ちゃんがいた。
相変わらずカッコ良くて、
白いシャツに、黒のスキニーパンツで
シンプルなのに、似合ってて。
思わず、見惚れてしまった。

「竜之介、知り合い?」
「……あぁ」

竜ちゃんの後ろから来たのは、
あの時、一緒だった女性。

彼女とは、紹介してくれないんだね……。

私はその場から、逃げた。
2人の姿が、あまりにも自然で。
お似合いで。

私が竜ちゃんの隣にいちゃいけないんだ。
そう思った……。

泣きながら、ショッピングモールを
歩く女って……。
バカだなぁ。

竜ちゃんから逃げて何やってるんだろう。

その時から、ずっと鳴ってるスマホ。

私は、近くにあった椅子に座って
スマホを見た。

それは、竜ちゃんからの着信だった。

さっきから何回も着信が……。
ほら、まただ。


私は、通話をタッチした。

「……」
「……麻知?どこにいる?」

心配そうな声。
私は、あえて元気な声を出した。

「竜ちゃん、電話してていいの?
一緒にいる人に悪いから切るね」
「アイツはサロンの同僚。
今日は、ショッピングモールの中にある
サロンの助っ人で、仕事の休憩中に
Cafeに行っただけだから……」

確かにここのショッピングモールに
竜ちゃんのサロンと同じ名前のサロンが
ある……。
でも……。昨日も会ってたし、
竜ちゃんの家に行くくらいな仲でしょ?

「麻知?」
「……お仕事頑張って」
「今日、俺ん家来て」
「……」
「今日は、サロン早めに閉まるから
7時に家に来て。待ってるから」
「……わかった」

私は、もう逃げていられないと思った。