「いってぇ!」

「異形よ、我が前に屈し、愚かなる姿を顕現せんっ!」

魔法陣が浮かび上がると同時に、大郷くんの体からぽんっと飛び出したのは、化物

といっても、ただの化物ではない

寄生型の厄介な種類

「鋭き風よ、時空をも切り裂け、断罪のごとく」

瞬間、風の刃が小さな化物に振り落とされ、一発で化物は掃滅された

「はいっ、完了」

「え・・・・・・?」

やっぱり

大郷くんにとりついていたあの化物・・・・・・私が掃滅した化物は、寄生されていた

寄生型の化物は、人間など生き物に寄生するのではなく、化物自体に寄生する

化物が化物に寄生するのだ

その寄生された化物が人間に取りつくと、寄生型の化物は今度は人間に寄生する

感染経路はこんな感じ

二段階あるため、もし寄生されたまま放置すると、まずいことになる

この前の化物は寄生されていて、少し時間が経ってから大郷くんの状態に不調が出たといったところか

「ダメだよー、これくらい気づかなきゃ!」

「てかよくわかりましたね、大河先輩・・・・・・」

「僕も魔導師だからねー」

「私、ちっとも気づかなかったよ・・・・・・!」

「つくづく感心するわぁ」

「私もわかりませんでした・・・・・・さすが大河先輩です」

わいわいと騒がしくなる生徒会室

確信した。大河先輩は並々の人ではない

魔導師ではない

伊達に魔導師の称号をもらっているわけではなさそうだ

にしても

以前は『琴葉先輩が群を抜いて強い』と聞いていたけど

この場合、大河先輩の方が強いのではないだろうか

いや、琴葉先輩が魔術師の中で強い、という意味か

まあそんな感じだろうと自分で勝手に結論づけておく