「報告書制作、手抜いてたよな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

意外と面倒臭がり屋なのか、琴葉先輩って

「まあとりあえず貰いに行こうか。これで晴れて、小鳥遊さんも魔術師の一員だよ」

「はあ・・・・・・」

元々魔術師ですけど

とりあえず、素性がバレるようなことはしないようにしなくては

そう心に決めて、私は人生2度目の指輪をもらいに大郷くんと歩き出した




「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

受付は一体どれだけの役割に対応しているのか

指輪を貰うのも受付だった。これ役の割り振りおかしいのでは

「それじゃあ、右の薬指に常に装着しておいてくださいね」

「はい、わかりました」

ぺこりと女性に礼をして、私は受付カウンターから離れ、少し離れたところにいる大郷くんの元へ戻った

暇を持て余していた彼は、私が来るのを見て顔を上げる

「あ、もらえたんだね。付け方は教わった?」

「・・・・・・はい、教えてもらいました」

本当は教えられていないが、ここで大郷くんに教えてもらうのもなかなか

知っているのに、大郷くんがわざわざ私に教えることは必要ない

これは魔導具

故に、普通の指輪のように指にはめるだけではつけれない

とはいえ、魔力を指輪に流せばいいだけの話

魔力を流した状態で指にはめていくことで、綺麗にはまる

左手で指輪を持ち、指先から魔力を流していく

ぽうっと魔力が指輪にまとわりついたのを確認してから、右手の薬指にはめた

綺麗に隙間なく

「魔力も自在に操るなんて・・・・・・」

上の方から呟く声が

そこではたと気づく

魔力操作はそこまで高度なことではないはずだけど、初心者設定の私がやるとまずかったか

「受付の人に教えてもらいましたから」

「あ、そうか・・・・・・」

ここは女性を使って逃げる

まあ、受付の人に指輪のはめ方も教えて貰っていることになっているから違和感はないだろう