落ち込む大河に、朝子が「ドンマイ」と肩を叩く。その時、司会者がスペシャルゲストの登場を告げ、拍手が響いた。

「白鳥(しらとり)うららです。よろしくお願いします!」

白いシフォンワンピースを着た女性が舞台に登場すると、集まっていた人たちは驚き一斉に写真を撮り始める。

「あの女性、どこかで……」

藍が首をひねると、大河が「最近人気急上昇中の若手女優ですよ」と教えてくれた。

「映画、ドラマ、バラエティー、数々の番組に出演していますよ。有名社長の娘だそうです」

「そんなすごい人なの……」

テレビは見るが、芸能人にはあまり藍は興味がない。俳優や女優の名前を言われてもわからないのだ。

「とてもきれいな人ね」

舞台の上で、うららは司会者にいろいろ質問されている。受け答えをするその表情は、とてもきれいだ。

「何言ってるんですか!」

大河が藍の手を包む。

「霧島さんの方が頭もよくて、髪もきれいで、とても美人ですよ!!」

その大声に、周りの人からの視線が集まる。藍たちは気まずくなり、ゆっくりとその場を離れた。