「何でだろうなー、引きずってるのかなー」

「引きずってる?」

うじうじと悩む妹の一言に反応する。

妹はお酒で赤らんだ顔で私を見て、少し悲しそうに「何でもない」と言った。

……いっちょまえに女の顔しやがって。

成長したなと思っていると、さっき頼んだ生ビールが来る。

店員から生ビールを受け取り、それを半分くらい一気に飲み干す。

「あー、彼氏欲しいー」

妹は嘆くように言って頭をガンガンとテーブルに打ち付ける。

「何言ってるのよ、諒(りょう)君という好物件が居ながら」

ため息を吐いて言うと、妹が驚いたようにがばりと起き上がった。