「では、また明日」
「ありがとうございました」
頭を下げて、先生を見送る。
梶と一緒に出て行って、パタンとドアが閉まる。
「ふぅ、」
一つ、また終わった。
「お嬢様が大丈夫な時に旦那様たちの所に行きましょうか」
「はーい」
「ですが、家庭教師の先生はあと20分もしたら来てしまいます」
「うん、じゃあ今から行こうかな」
後藤さんを見て言うと、彼女は分かりました、と私に薄いカーディガンを肩にかけてくれた。
今の季節、そんなに寒くないのだけれど、自分の部屋から出るときは必ず着るようになっている。
カーディガンに袖を通してドアに向かう。
後藤さんが開けてくれて、私は廊下に出る。
絨毯が敷いてあるので廊下の床もフワフワしている。
私の部屋は2階で、1階に行くとリビングとお父様とお母様の部屋がある。
後藤さんと一緒に1階に行くと、リビングの方に案内された。
顔を出すと、夜着を着ている両親が大きなソファに座っていた。
「お父様、お母様」
「おはよう、心晴」
「おはよう」
両親は、私を見るとほほえみ、手招きする。
私は、吸い寄せられるように2人の側に行って、間に腰掛けた。


