最後の陽が昇る日まで




色々あって少し疲れた。
また、熱が出たらヤバい。


家に戻ろうと踵を返した時に、バイクのエンジン音が聞こえ、乗って帰るんだな、と重いながら部屋に戻る。
部屋には、後藤さんが少し険しい表情でわたしを待っていた。


「後藤さん、さっきはありがとう。助かったわ」
「いいえ・・・お嬢様、お聞きしたいことがあるのですが」
「?なに?」


ソファに座ると、気を利かせて後藤さんは暖かい紅茶を出してくれた。
温かい飲み物で体を温めて、ふぅ、と息を吐いた。


「先ほどの方は、お知り合いですか?」
「千景のこと?・・・そうね。知り合いといったら知り合いよ」
「いつ、どこで知り合ったのでしょうか?」
「えっと・・・」


千景との出会いを思い出しながら、後藤さんに話す。
最初は、頷きながら聞いていた後藤さんだったが、何故かだんだんと表情が青ざめていく。


「ーーーーそんな感じで、知り合って・・・後藤さん?」
「・・・・お嬢さま、なんという・・・」
「え?」
「っ、そんなことをして、何かあったらどうしたのですか?偶々何も無くこうして怪我も無くいられていますが、今の若者は何をするか分かりません。それに、男。もっと警戒しなければならないのですよっ」


何かスイッチが入ってしまったのか、後藤さんはそれからブツブツと何かを言い始めた。
所々、護衛が、とかJPSとか聞こえてきたので、わたしは聞いていない振りをする。


後藤さんは言うけれど、千景達は悪い人には思えなかった。
千景の友だちも、親切にしてくれた。
心配することは無いと思うんだけどな。