最後の陽が昇る日まで




「・・・・変な奴」
「?なんで?」
「ただ、住んでいるだけって・・・」
「本当の事だもの」


当たり前のことを言っただけなのに、変な奴呼ばわりなんて、納得いかない。
千景は、何故かわたしの頭を撫でてきた。
ますます意味が分からなくて、首を傾けるが、千景はこれ以上は何も言わずに立ち上がる。


「ーーー帰る」
「そっか」
「世話になった・・・ありがとう」
「ううん・・・お大事にね」




帰る千景を、家の門まで見送る。


「バイクは?」
「持って帰るさ・・・じゃあ」
「うん・・・気をつけてね」


千景は、数歩歩いて、足を止め振り返る。


「心晴」
「?なに?」
「また・・・会えるか?」


千景の口から出た言葉に、わたしは目を見開いたが、小さく微笑んで頷く。


「うん、会えるよ」
「・・・そうか」


安堵が伝わってきて、千景みたいな人でも緊張するんだな、と少し失礼なことを思ってしまった。
千景は、また歩き出す。
その背中を見送っていたわたしは、あ、とあることを思い出して、千景を呼び止める。


「千景!」
「?」


また、足を止めて千景が振り返る。


「わたし、基本的に夜しか活動しないから・・・会えるなら夜だけだから」
「?どういうことだ?」
「夜だけ会えるってことだけ覚えてくれていたらいいから」


これ以上のことを千景に言うつもりはなかった。
千景は、少し納得していない様子であったけれど、わたしが手を振って見送ると、帰って行った。


千景の姿が見えなくなると、小さく息を吐く。