最後の陽が昇る日まで




「なんで・・・」
「バランス崩してこけた・・・だせぇな。あいつらが見たら爆笑されていたな」


フッと笑みを浮かべた千景に、わたしは少し不機嫌になる。
一歩間違えたら大けがになりかねないのに、なんだか軽んじている感じがして嫌だった。


少しすると、飯島先生が来てくれた。


「おや、珍しい」
「ごめんなさい。こんな時間にお呼びしてしまって・・・」
「必要としてくれているならどんな時間でも来ますよ」


飯島先生は微笑んで、荷物を置くと、千景の足を見た。


「脱げますかな?」
「ああ・・・」


千景は、一度立ってズボンのボタンに手を掛ける。
手を掛けたまま、わたしを見た。
何?と首を傾けると、千景はずばり言う。


「脱ぐんだが」
「え。うん」
「見たいのか?」
「え?・・・っ外に出てるっ」


千景が良い問いことが分かって、一気に顔に熱が集まる。
そそくさと部屋を出たわたしは、ドアに寄りかかって熱い顔を冷ます為に手で団扇をして息を吐く。


「危なかった・・・っ」


あのままいたら、千景のパンツを見てしまうことになってしまった。
恥ずかしすぎる・・っ。


処置が終わるまでここにいよう、と待っていると、そんなに時間が経たない内に飯島先生が出てきた。


「心晴さん」
「飯島先生、彼は・・・」
「結構キズが深かったので、しばらくは痛むでしょうが、大丈夫です。何かおかしいなと思うことなどあればすぐに連絡ください」
「はい、ありがとうございました」


飯島先生に頭を下げ、後藤さんが付き添って送りに行ってくれた。