最後の陽が昇る日まで




体調も良くて、庭を散歩したくなったわたしは、今日は後藤さんと一緒に外に出た。


「寒くないですか?」
「うん、もう暑くなってきているし」
「そうですね、もうすぐ7月になりますし・・・」


今年は、梅雨らしい梅雨がなかった。
梅雨入りも遅く、雨が降った期間が短く、外に出られる時間が多かった。


いつの間にか、梅雨明けが宣言されて、もうすぐ夏が来る。
夏は、暑いし夜は虫がたくさんいるので好まない。
今よりもっと外に出る時間が短くなって、クーラーの効いた涼しい部屋に引きこもるだろう。


「夏かー嫌だなぁ・・・」
「私も、夏は苦手です」
「一緒だね」
「はい」


2人で他愛のない話をしながら散歩をする。
広い庭も今は、割と緑ばかりだが、もう少ししたら庭師が育てているひまわりや夏の花が綺麗に咲くだろう。
庭がもっと華やかになるのが今から楽しみだった。


1時間くらい散歩をして、後藤さんにそろそろ部屋に戻ることを促されて家に向かい始めた時、ガッシャーン!!!と大きな音に驚く。


「なっなにっ」
「すごい音でしたね・・・」
「外?」
「でしょうね・・・心晴様!?」


わたしは気になって家の外に出る。
慌てて後ろから後藤さんが追いかけてくるけれど、大きな音がなんだったのか気になってしまったのだ。


「心晴様っお待ちください」
「ちょっとだけ。気になるから・・・」


ひょこっと道路の外に顔を出して周りを見渡す。