最後の陽が昇る日まで




話を聞けば、熱を出してしまっていたという。
下がったと言っても、夜に外に出るのは体に障る。
家に帰ることを促して、見送ってから、俺は心が満たされた感覚を味わいながら、帰路につく。


「ーーーーあ、れぇ?どこかで見たことのあると思ったら?銀龍じゃね?」


声がした方を見れば、俺を舐めるように見る男が3人。
ニタニタと笑みを浮かべながら近づいてくる。
俺は、この髪の色もあるのかいろんな不良に絡まれる。
必ずと言って良いほど喧嘩に変わり、今のところ気が向かない以外は全勝。
嬉しくもない、銀龍なんてあだ名がついてしまっている。
あぁ、一気に気持ちが萎えてしまった。
せっかく心が満たされていたのに、ぶちこわしてくれたこいつらをどうしてくれようか。


「ーーーー消えろ」
「あ?なんだとテメェ!」


導火線が短かった男達は、俺に向かって突進してきて殴りかかってくる。
今は、俺の機嫌はよろしくなかった。
紙一重で男達を避けて、代わりに一発ずつ腹に拳を入れてやる。
動きが単調で、隙だらけだった。


「う・・・ぐぅ」
「く・・・そ」
「っちくしょ」


「ーーー弱い」


あっという間に地面に倒れ、痛みに悶える男達に一言吐き捨てて、俺はスッキリしないモヤモヤを抱えながら家路へとつく。


思い出すのは、男達に絡まれる前のこと。
心晴。
なんでか分からないけれど、また会いたい、と思った。