最後の陽が昇る日まで




そっと門を開けて顔を外に出す。
視線の先に見えたのは、やっぱりわたしが知っている銀髪だった。


「ーーー千景?」


そっと名前を呼ぶと、千景がこちらを向いた。


「ーーー心晴」
「どうしたの?こんな所に?」


首を傾ける。
千景は、ゆっくりとした足取りでわたしの方に向かってきた。


「何してた?」
「え?・・・今、起きてご飯食べてた」
「こんな時間に?」
「熱が出ちゃって・・・」


千景は、一瞬目を見開く。


「熱?」
「うん、でももう大丈夫・・・・っ」


スッと千景の手が伸びてきてわたしの額に触れた。
一瞬何が起きたか分からず固まってしまう。


「・・・まだ、少し熱い」
「そ、かな」
「もう、中に戻った方が良い」


そう言って、千景は離れた。
びっくりした。
まさか額に触れられるなんて思っていなかった。
でも、千景の手とても大きかった。


「悪かったな、」
「え?」
「出てこさせちまって」
「いや、なんかキラキラしたのが見えて気になって出てきたのはわたしだから・・・」
「キラキラ・・・」


だって、本当に部屋から見たらキラキラして見えたんだから。
夜の中、千景の髪型は目立つ。


なんとも言い難い表情を浮かべている千景に苦笑して、そろそろ家に戻ることにする。


「じゃあ、わたし帰るね」
「あぁ・・・」
「あ、そいえば、なんでここにいるのか聞いてなかったね」
「ーーーーたまたまだ」
「そなの?」
「早く、戻れ」


そう言って、千景はわたしから少し距離を置く。
わたしは、なんだか少し納得いかなかったけれど、素直に家に戻ることにする。
バイバイ、と言ってから、わたしは門を閉めた。