流石に、両親にも会いたいとは思わなかった。
このまま、もう一眠り、と目を閉じる。
ーーーー誰かに、撫でて欲しいな。
心の片隅で沸いた気持ちに、わたしは鎖を欠けて封じた。
一日、ずっと眠っていたらすっかり体調は良くなった。
お医者様にも診て貰い、大丈夫とお墨付きを貰う。
家庭教師の先生には、大丈夫だろうけど少し勉強する時間を短くさせて貰った。
両親にも何日かぶりに会ったが、最初に体調を心配されたくらいであっさりと対面の時間を終わらせた。
自分の部屋に戻ってきて、部屋に1人、夜なので部屋のカーテンを開いて外の景色を眺めた。
窓を開けたいな、と思ったけれど、これでまた体調がぶり返してもいけないからグッと我慢する。
大きな窓の縁は腰掛けられる幅があるので、座って月明かりを浴びる。
ふぅ、と息を吐く。
窓から見える景色は、家の庭はもちろん、周りの道路や他の住宅も見える。
ほとんど電気は消えていて、まっくらではあるが、道路は外灯が道を仄かに照らしている。
家の庭を眺めて、なんとなく視線をすぐ側の道に移してみる。
「あれ」
首を傾けて、ある一点を凝視する。
暗がりでよく見えない。外灯も明るいわけではないけれど、影が見えた。
「あれはーーー」
気になって、わたしはダメだと分かっていたけれど、少し厚手のカーディガンを羽織りそっと部屋を出る。
廊下には誰もいない。足音を立てないように庭に出て、家の入り口まで歩く。
長距離を歩いた訳ではないのに、まだ本調子ではないからか息が上がる。


