最後の陽が昇る日まで




「お嬢様、体調は・・・」
「もう、大分良いかな・・・ごめんなさい、迷惑をかけてしまって」
「いいえ、気になさることはないです。お医者様が言うには、長時間外にいたことで体が冷えてしまったのと、負荷で体が疲れてしまったからだろうとのことでした」
「そう・・・」


長時間と言っても、そんなに長い時間ではなかったと思う。
体が疲れたって・・・どれだけわたしは体力がないの。
こんな簡単なことで体調を崩してしまうなんて、自分が病人だと突きつけられた気持ちになる。


「食欲はどうですか?」
「んー・・・」


食欲、と聞かれ、急にお腹が空いたのか、グゥーーっと後藤さんにも聞こえてしまうほどに大きな音を立ててお腹が鳴る。


「あ」
「ふふ、今ご準備しますね」


自分でもびっくりするくらいの大きさに、後藤さんは思わず笑ってしまった。
準備すると一度部屋を出る。


「なんて、大きさ・・・」


少し恥ずかしさを感じながらも、はやくご飯が食べたいな、と思ってしまった。



体調が万全ではないので、おかゆを準備してくれた。
大好きな卵も入っているので、わたしは大満足だ。


1人分の土鍋に入ったおかゆをあっという間に胃袋に納める。
胃も喜んでいるみたい。


「お薬ですが、いつものは一旦お休みして、今日処方された方を飲んでくださいとのことです」
「はい」


今日は、2種類の薬を渡された。
いつもより少なくて、安心したわたしは、すぐに飲んでしまってまたベッドに潜る。
さっき聞いたら、今日の予定は全てキャンセルしてくれたそうだ。


「旦那様や奥様には・・・」
「今日は、会えないって言っておいてくれる?」
「・・・わかりました」