最後の陽が昇る日まで




☆ ☆ ☆


次の日、目が覚めると頭がぼーっとしていた。
視界が少し滲んで見える。
体が熱い。


「お嬢様、おはようございます」


いつものように後藤さんが入ってきて挨拶をしてくれる。
でも、それにも返す元気が出ない。


何も返事をしないわたしに不思議に思った後藤さんは、ベッドに寝るわたしの顔を覗き込む。


「お嬢様?・・・失礼します」


わたしの顔を見ておかしいと思ったのか、後藤さんはわたしの額に手を当てる。


「熱が・・・すぐにお医者様をお呼びしますっ」


後藤さんは慌てて部屋を出て行く。
熱・・・わたし、熱が出たんだ。


すぐにバタバタと何人かが部屋に入ってきて何かをしている。
でも、確認する気力なんてなくて、わたしはそのまま目をゆっくり閉じて意識を手放した。







次に目を開けたときは、いつものわたしの部屋で、違うことは腕に点滴が繋がっていたことだった。


さっき目を覚ました時よりは、体の調子はいくらか良くなっている気がする。
視界は滲んでいないし、体の熱さもそんなにはない。
点滴に影響がないように身を起こして部屋を見れば、誰もいない。


ゆっくりとベッドから抜け出して、後藤さんを呼ぶことにした。
何か用事があれば、自分で呼びに行くことも出来るけれど、内線を繋げばすぐに来てくれる。
今回も内線を鳴らすと、すぐに後藤さんが来てくれた。