最後の陽が昇る日まで




振り返ると、千景がジッとわたしを見ている。
首を傾けると、千景は、一言だけ言う。


「ーーーまた」

「?・・・また」


今度こそ、わたしは3人に背中を向けて梶と一緒に歩き出した。





車に乗ると、運転席に座った梶に問い詰められる。


「どういうことですか」
「ごめんなさい・・・ちょっと1人でブラブラしてみたかったの」


正直に謝罪すると、梶は深く息を吐いた。


「こんなことは、今後絶対にやめてください・・・心臓が痛いです」
「ごめんなさい」
「何かあったらどうするんですか?携帯の電源も切って・・・」
「うん、魔が差しました」
「お嬢様に何かあったら、私達は旦那様や奥様に顔向け出来ません」
「はい・・・」


梶は、それ以上は何も言わずに、ゆっくりと車を走らせた。
もう、まっすぐ家に向かうだろう。
わたしは、小さく息を吐いて、背もたれに体重を預けた。
窓から外を見てみると、街灯以外は真っ暗な世界になっている。


さっき出会った3人を思い出す。
少しの間で大した話をしたわけではなかったけれど、同じ年の人と話をすることが出来たことはとても新鮮だった。
きっともう、二度と彼らには会うことはないだろうけど、梶には悪いけれど良い時間ではあった。


それに、あの人ーーー千景。


わたしは、千景から返してもらったハンカチを取り出した。
綺麗にプレスされたハンカチは、ポケットに入れていたとは思えないくらいにちゃんとしてあった。