「セナに手出しをする奴は、何人たりとも容赦はせん」

オリオンが荘厳に低く放つその言葉は、心の底まで響くかのようで。男達の顔はみるみる凍りついていった。

「く……くそっ、撤収だ!」

男達はまるで命からがら、逃げ出した。

「おいこら、待て」

オリオンは彼らを追おうとしたけれど……私は思わず、彼の背中を抱き締めた。

「オリオン!」

「セナ……」

「私は大丈夫だから。オリオン……側にいて」

その大きな背中は温かく、強く、逞しくて、私は涙が出そうなほどに安心することができた。

そうなんだ……私、オリオンと一緒に戻って来たんだ。
元の世界の、悪夢のような瞬間に。
だけれどもその瞬間は、オリオンの手によって幸せで堪らない一時に様変わりした。

嬉しい……オリオンの体温にずっと、ずっと身を委ねる私を、夜空に光るオリオン座が煌々と照らしていた。