「セナ……」

唇を離して。改めて彼の顔を見つめると、頬は桃色に染まっていた。
それはまるで、純情な少年のようで……そんなオリオンを見て、私も、自分が『初めて』だったんだと思い出した。

だから、私の顔もカァッと熱くなって。何だかいたたまれなくなって、ガバッと寝床に潜り込んだ。


「セナ。おい、お前……何をやっているんだ? 折角、助かったのに」

「えっ……」

まるでいつもの調子を取り戻した様子のオリオンの声に、私は寝床から這い出して……思い出した。

そうだ。オリオンはサソリに刺されて、瀕死の状態で。だから、私と血を交換して。
もう、こんなに元気になって……私達、二人とも助かったんだ!

「やった……」

私の口からは、思わず喜びの言葉が出た。

「やったよ、オリオン。私達、助かったんだ。これからも……ずっと一緒にいれるのよね!」

私はまた、ギュッと強くオリオンを抱き締めた。

「おい、こら……やめんか。ったく……」

オリオンは照れ隠しにぶっきら棒に言うけれど、私には分かる。彼も本当は、とっても嬉しいんだ。

だから、私は彼の温かい体温を感じて。その優しさにずっと、この身を委ねていたのだった。