「ええ、もちろん!」

それがどれだけ危険な賭けだとしても……ほんの僅かでも、希望があるなら。私はそれに賭ける。そう……私は絶対に、また元気なオリオンに会うんだ。




「今から、オリオンの全身の血とあなたの全身の血……半分を交換するわ」

アルテミスがそう言うと、私の体は赤く光るバリアのようなもので包まれた。オリオンの体もバリアで包まれて、青く光っている。

「いい? 体の半分がオリオンの血になるということは、また、サソリの毒に侵されるということ。あなたの血には確かにサソリの毒に打ち勝つことができる成分があるけれど……それでもやっぱり、ダメージはとっても大きい。死ぬかも知れないのよ」

アルテミスはじっと私を見つめて尋ねて。そんな彼女を真っ直ぐ見て、私は頷いた。

「ええ、大丈夫よ。始めて!」

怖くない……と言うと、嘘になる。赤いバリアに包まれた私の体は小刻みに、ガタガタと震えている。

だけれども、二人とも助かる可能性があるのなら……やるしかない!
それに、私の体内に温かくて愛しいオリオンの血が入って……オリオンの体内にも、私の血が入って。もし二人とも助かって元気にまた会えたなら。これ以上、素敵なことはない……私はそう、思った。