「セナ……君は、それほどまでにオリオンのことを」

ガイアは引き裂かれそうなほどに辛そうな顔をして。だけれども、穏やかにそっと呟いた。

「でも、僕はそんな君を好きになったんだ。そう……自分の身を投げ出してでも、オリオンのことを守った君を……」

「えっ……」

ガイアの顔は涙で滲んで見えなかったけれど……彼はそっと、私に耳打ちをした。

「僕は神の命令に背くことはできない。でも……」

そうして、哀しげにそっと微笑んで……彼は私達の前から立ち去った。


彼の言葉を聞いた私は……木の実を取るのに使っていた石ナイフで迷うことなく手首を切った。
痛い……赤くて熱い血がみるみるうちに傷口から滴り落ちてくる。だけれども……私は絶対にオリオンの命を救うんだ。

私はオリオンの手首にも傷をつけて……そっと、私の傷を重ねた。