「くっ……この……」

オリオンは棍棒を振り回し、力任せにサソリ達を蹴散らした。だけれども、四方八方から迫るその針の全てには太刀打ちすることはできず……その針のうちの一つがオリオンの背中に命中したのだ。

「オ……オリオン!」

私は駆けつけて、オリオンを抱き締めた。
その間、サソリの針をいくつも浴びたような気がするけれど……刺された感触はあるけれど、どういうわけか、毒のあの激痛が走ることはなかった。

「オリオン! 嫌だよ、死んだら……死んじゃやだ!」

私は必死に叫ぶ。だがしかし、オリオンはぐったりとして……虫の息で。ようやく開けた目は私を見て、にっこりと笑った。

「セナ……大丈夫か?」

「私は大丈夫だから! オリオン……」

「そうか、よかった……」

そう言って、彼の体からはぐったりと力が抜けたのだった。