「そんな……嘘よ。嘘よね? ガイア……」

私は食い下がるようにガイアを見た。
だって、私には彼のこと、悪い人には見えなかった。そう……まるで子供のように純粋で。その透き通る瞳は汚れを知らなくて。

だから……彼がオリオンを殺そうとするなんて。オリオンを殺そうと企てるだなんて、考えられなかった。

だが、ガイアは寒気がするほどに冷酷な笑みを浮かべた。

「アポロン神の命令だ」

「アポロン神の……」

「ああ。オリオンを刺し殺せとな」

「そんな……だって、アルテミスはもう、オリオンとは会っていないのに……」

「でも、心はオリオンにあるのだろう?」

「そ、それは……」

私は何も言い返せなかった。だって、直接にアルテミスに会って……彼女の想いは痛いほどに伝わっていたから。

「だから、僕は神の命令に従い……あいつを刺し殺さないとならないのだ!」

ガイアが何かの合図を送ると、その砂漠のサソリは一斉にオリオンの方へ向かって行った。

「ダ……ダメー!」

私は思わず、オリオンのもとへ駆け出した。